読書のすすめ

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 今、もし生きておられたらぜひ話を聞きたい方が、二人いる。

 一人は、内田健三先生に今の情けない政局について。そしてもう一人は吉村昭さんに、今回の大震災と大津波について、だ。内田先生はきっと、直人なんかも面倒見た一人だからケチョンケチョンなのは目に見えるようだけれど(笑)、吉村さんは、何と言うだろうか。

 上の本は今話題になってるし本屋によっては山積みなので知ってる人もいると思いますが(以前『海の壁』というタイトルで出ていた書物です)、吉村さんは三陸の田野畑村とはゆかりの深い方で、その地方を襲った三度の大津波についての記録をまとめたもの。多分この本はまだ買ってなかったなぁ! と思い、今回緊急増刷&売り上げが寄付に回されるということもあって、急いで買って来て読んだ。

 この本には明治29年、昭和8年、昭和35年(チリ沖地震)に三陸方面を襲った津波のことが、吉村さんらしい冷静でスピード感のある文章でまとめられていて、途中いくつか紹介されている当時の子供たちが書いた作文も、リアルで背中がゾクゾクするような恐怖感で溢れている。あと、津波は大きな地震の後に来るものだっていう先入観があったけど、ゆっくりした揺れが何回か続いた後も危ないのだ…ということも知った。あとやはり前兆というか、魚がやけに沢山打ち上がったりした場合も、起こる危険性があるのではないか、と思った。

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 吉村さんは、沢山のエッセイなどで田野畑村との交流について書いてるんだけど、この「ひとり旅」っていう遺作集にも、少しだけど三陸の津波について書こうとしたきっかけや、地元で講演した時「津波の高さが50メートルを超えていた」と話したら全員が驚いていたエピソードなどが入っている。

 思えば、吉村さんは「関東大震災」という本も書いていて、95年に阪神大震災が起こった時にはTVでも「災害時の交通について」などの講演を熱心にされていた。歴史の先人に学ぶ、というのは最も効果的な方法であるけれど、果たして、大津波の話に耳を傾けた人などは今回無事であっただろうか。少し気になった。何より、田野畑村にある吉村さんの文庫も全滅と新聞で読んで、そちらも復興してほしいが大丈夫だろうか…と、気にかかっている。

 読書といえば、先日買った文春で記事を読み、何件か本屋を回ってやっと見つけたのがこれ。

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 既にネットの大手では売り切れだったので焦ったけど、1冊だけ奇跡のように書店に入ったアタシの目の前に残ってて、思わず「有り難うございます!」と抱きしめるように抱えて帰った。

 作家の津村節子さんは吉村さんの奥様で、2006年に吉村さんが亡くなった当時のことを、この「紅梅」という私小説に書いて下さった。本当に辛かっただろうと察するけれど、アタシたちが一番読みたかった小説だ。

 でも、70ページほどの小説なのに、なかなか読み進めない。あまりにもリアルで泣けて仕方ないから。時々回想のように出て来る昔の話も、何度も吉村さんのエッセイなどで読んだ場面そのままで、これもリアル過ぎる。そんなワケで、急ぐものでもないしな、と思って少しずつ少しずつ読み進めている状況。

 吉村さんの書物は、どれを読んでも「ハズレなし」と自信を持ってオススメ出来るけど、やはりこの「三陸海岸大津波」とか「関東大震災」は、何か学ぶところがあると思うのでぜひ読んでみて下さい。他にもアタシが高校生の頃初めて読んで大ファンになった「ポーツマスの旗」とか、「戦艦武蔵」「零式戦闘機」「高熱隧道」「漂流」「冬の鷹」「磔」「間宮林蔵」「総員起シ」などなど、本当にいったん読み始めたら止まらなくなる面白さを体験出来るし、色々と考えさせられる作品ばかりだと思う。

 このGWは、久しぶりに色々読み返してみようと思います。
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